【 NO.1 】 1998.5.8

1.安全なものを食べていますか

よく言われる言葉に「今は毎日がお祭りだ」というものがあります。
なぜそう言われるのかというと、かつては食べるものがなく、盆や正月、そしてお祭りのような時にしか食べられなかったものが、今では随時食べられるようになったからです。
たとえば生の刺し身というと、海のない県ではなかなか貴重なものでした。それどころか、今のような輸送形態でなかった昔は、そういった生のものを輸送するということ、そのものが不可能に近かったわけです。
そうした時代に比較すれば、今は明らかに異なっています。


かつてご馳走であった刺し身も、今ではそれほど珍しいものではなく、刺し身を出せばそこそこのご馳走だ、という印象も薄らいでしまいました。

また家で採れた米や野菜といったものを食べるのが当たり前であった日々の暮らしは、少し前のことになってしまいました。かつてムラと言われていた所でも、野菜を自給している家は少なく、それどころか米ですら、自給する家は限られてきたと言っても過言ではないでしょう。ムラに多かった農家(たとえば子どもたちに、「君の父親は何の職業ですか?」と聞いた際に、「農業です」と答えられるような家庭)はなくなり、ほとんどがサラリーマンと化してしまいました。
例えばわたしが子どものころ(昭和40年代)には、伊那谷の多くのムラでは子どもたちのほとんどが農家の子どもでした。今ではほとんどがサラリーマンに該当するのでしょう。

そんな農村に農業が生きているのか、という問いをしたくもなります。

癌で死亡する人が死因のトップになっている今日、癌に悩む家族が、なんでもいいから治療方法がないものかと人づてに探していたとき、ある山の中の人で癌を治す方法を知っている人がいるといって、問い合わせました。その人は、「わたしは医者ではない」といって、その方法を答えてはくれませんでしたが、はき捨てるようにこう言ったといいます。
『四里以内にできたものを食べていれば、癌になどならない』と。
ようするに自給自足の暮らしをしていれば、癌など心配ないというものでした。

コンビニエンスストアーが不可欠となっていたり、スーパーの惣菜売り場がはやるように、現在の食糧事情といえば、この言葉からいえばかけ離れているともいえます。電子レンジであっという間にできてしまう弁当などは、コンビニ産業のもたらした最たるものといえるでしょう。そうしたなか、味付けそのものも強く、香辛料を多用した傾向が強くなり、外食に慣れた人々は、本来の素材の味を忘れています。

食品添加物に対しての意識も次第に高まったとはいうものの、そうした外食産業の扱うものには危険なものがたくさんあります。発癌性まであるというものは、さすがに減ってきたいえますが、臓器障害を起こすといわれるものから、変異原性や染色体異常の確認できるものなど、多くの食品添加物が氾濫しています。そうしたなか、少しぐらい体に異常があっても、それはほんのわずかか、あるいは運の世界だという意識を持つ人はまだましで、多くの人々はそんな事実さえ知らないようです。


そういうわたしも決して危険性のあるものを食べていないわけではなく、頭の片隅で少し意識している程度です。どこまで食べたら安全で、どこまで食べたら危険だというラインは明確ではなく、危険性がある、という程度のことですから、あまりにこだわることはないでしょう。
ただ、スーパーで買い物をする際や、コンビニで弁当やおにぎりを買う際には、少しは気を使ってみてください。

入っていたら、なるべく買わないほうがよい添加物
・亜硝酸ナトリウム(亜硝酸NAなどと書いてあります)
魚介類に含まれるジメチルアミンと結合すると、ジメチルニトロソアミンという発癌性物質ができるといわれている、結構有名な添加物で発色材として多くの加工品に使われています。
とくにソルビン酸カリウムと一緒になって酸性のもとで加熱されると、エチルニトロール酸という突然変異を引き起こす物質ができるといわれていて、両方の添加物が入っていて加熱を加える可能性のある加工品は、とくに気をつけたいものです。
そうした食品として、ハムなどの加工品が知られています。少し見ていただくとわかるのですが、スーパーなどにあるハムは、ほとんどこのての添加物が入っています。また、高級ハムなども同じです。高くても入っています。子どもたちはとくにハムが好きですから、ハムはもっとも気をつけたいものです。スーパーなどでも無添加として売っているものが少量ですがありますので、なるべくそうしたものを選びたいものです。
あまり気にしていなくても、この添加物だけはいつも避けているわたしです。
ハム以外にも、つまみ類にも多用されています。また、弁当やおむすびにもよく使われていますので、時には表示を確認してみてください。ワインなどにも使われています。
危険性のあるといわれている添加物の中では、本当によく目にするメジャーな添加物です。

・ソルビン酸カリウム(ソルビン酸Kという表示)
前記した亜硝酸ナトリウムと同様に多用されています。保存料として使われています。
漬け物類や珍味といったものをみると、ほとんど入っていますので、避けたい食品です。また、地方にある地場産業加工所などで作られている地元産の漬け物類にも使われています。地域で手作りされているから安全かと思うと大きなまちがいです。
むしろそうした所で、かなり危険な添加物が平気で使われていたりします。
・安息香酸ナトリウム(安息香酸NAという表示)
ソルビン酸カリウムと同じ保存料としての使用です。
ソルビン酸Kに比較すると、あまり目にしないかもしれませんが、清涼飲料水に多用されています。健康飲料とうたわれているものやドリンク剤などにも使われています。
・パラオキシ安息香酸
安息香酸と同様に保存料として使用されています。清涼飲料水などに使用されています。
・オルトフェニルフェノール(OPPという表示)
防かび剤として使用されており、発癌性の不安が指摘されています。
日本では食品添加物として規制されているものですが、輸入の果物に使われています。表示がされていない場合がありますが、オレンジやレモンといった輸入の果物で皮の表面が輝いているものは、だいたいこうした防かび剤が使われています。売り場でもOPP使用という表示をしていますので、気をつけてください。とくにこうした輸入果物の皮をなめるような行為は絶対にしない方がよいと思います。
輸入物が多いレモンですが、国内産のものもありますので、どうしても必要なら国産品を利用したいものです。
・TBZ(チアベンダゾール)
OPPと同様に防かび剤として使用されています。催奇形性(口蓋破裂・骨の癒合・手足が短くなる)の不安が指摘されています。やはり輸入果物に見られます。バナナなどに多用されており、表面が異様に美しいものは防かび処理されていると思った方がいいです。
いずれにしても輸入果物は危険だ、という認識をもった方がよいでしょう。
・赤色2号、3号、104号、105号、106号
字のとおり着色料として使用されています。売り場で見られる紅しょうがなどの赤は、着色料の赤です。発癌性があるといわれており、最近の加工品からは、徐々に減ってきています。ほかの着色料に変えている、といった方が正しいでしょう。
それでも菓子類などにはよく見られますし、またまだ多用されている添加物ですので、色の着いている加工品は、買う際に気をつけてみてください。
・黄色4号、5号
赤色と同様です。
・青色1号、2号
赤色と同様です。
・ジブチルヒドロキシトルエン(BHTという表示)
酸化防止剤として使用されています。
染色体異常の不安が指摘されています。それほど多用されていませんが、ときおり見られます。
・ブチルヒドロキシアニソール(BHAという表示)
ジブチルヒドロキシトルエンと同様に酸化防止剤として使用されています。
発癌性が指摘されています。
・プロピレングリコール
溶剤や品質保持剤として使用されています。
多食することにより、染色体異常や細胞に突然変異を起こす不安があります。
生の麺類に多用されています。外食する際に麺類をよく食べますが、業務用の麺はほとんどこれが入っていると思って食べたほうがよいかもしれません。家で生麺を食べる際は、購入の際に気をつけてみてください。むしろかん麺の方が安全かもしれません。
・リン酸塩(リン酸NAという表示)
品質保持剤として多用されています。肝臓や尿細管の障害、血中カルシウムの低下が指摘されています。また、多食するとカルシウムのバランスを崩したり、骨の形成に悪影響を及ぼすといわれています。スナック麺に多用されており、こうした不安点から、子どもたちに多食をしない方がよいという動きになったともいえます。
亜硝酸NA同様ハムへの多用もみられ、いかにハムが危険かということがわかると思います。
・息素酸カリウム
小麦粉の改良剤として使用されています。発癌性が指摘されています。
・サッカリンナトリウム(サッカリンの表示)
甘味料として使用されたもので、かつて問題となったチクロの代用として現れたものです。発癌性が指摘されています。
最近はあまり見られなくなりましたが、時折粗雑なスナック菓子で見るときがあります。絶対さけましょう。
・アスパルテーム(L−フェニールアラニン化合物)
甘味料として使用されています。血中のフェニールアラニンの分解性が悪く、胎児の血中に高濃度のフェニールフラニンが残る可能性があるといわれています。フェニルケトン尿症患者の妊婦には、その使用に注意するよう厚生省が通達を出しています。
ある健康飲料メーカーの飲料に使われています。

以上危険性のある気をつけたい添加物を載せました。このほかにも不安視されているものはたくさんありますが、とくに気をつけたいものだけを載せました。表示義務の中でも、キャリーオーバーといって二次加工品でその内容物が微量である場合は、表示義務がなかったりして、いちがいに表示だけで安心できるものではありませんが、少し気を使ってみることが大事です。

最近話題のダイオキシンですが、ポリ塩化ビニリデンからダイオキシンが出ることはよく知られています。
この材料は重宝なラップ類によく使われています。著名なメーカーのものはほとんどこれが材料となっています。最近は「無添加」と表示されたものが見られるようになりましたが、こうしたものを選びたいものです。
なお、使ってみるとポリ塩化ビニリデンに比較すると、張り付きが悪く使いにくいかもしれませんが、そういう問題ではないので、絶対無添加ものを使ってください。

安全な食べものをどう手に入れたらよいか、ということになるでしょうが、やはり、あまり気にしすぎても仕方ないので、ここであげた添加物を認識することと、全国に展開している生活共同組合(生協)を利用することで、ある程度安全なものを手に入れることができると思います。それでも安心ではありませんが、もっと安全なものを、と思う方は、生活共同クラブなどで活動しているグループがありますので、そういった団体を利用したらいかがでしょう。『まともな食べものガイド』(学陽書房)では、自然食品店、宅配ネットワーク、共同購入クラブなどを紹介しています。また、品目別に安全な食品を作っている工場や販売店を紹介していますので、利用したらいかがでしょう。

こうした食品添加物についての刊行物もたくさん出ていますので、参考にされるとよいでしょう。


食品添加物に限らず、野菜にみられる農薬も重要なことになりますので、このへんについては次回の情報をご覧ください。



2.くだものの周辺

私の住んでいる松川町は、果物の町として有名です。養蚕が大正期に盛んになった当時は、どこもかしこもというぐらい桑園がありました。農業技術もまだまだ低く、また、土木機械もなかった時代には、水を有効に利用することはなかなか容易ではありませんでした。用水路を作っても漏水によって必要量の水が来なかったり、河川より高い位置へ導水するにも多大な労力が必要だったわけです。そのため水利の悪いところは水田にできず、そうしたところは桑園とされていたわけです。戦前にも養蚕は盛んだったものの、大正ごろのピークに比べればそれほどよくなかったようです。そして戦後になると養蚕はいっきに衰退し、その変わりに水田が開拓されたり、果樹園に転換されていきました。
そうしたなかで私の町は、二十世紀梨を中心に果樹主体の農業経営に転換していきました。
一時は果樹園の多くが二十世紀梨で埋め尽くされていましたが、人気のピークが過ぎ、現在では赤梨やりんごといったものや、はやりの西洋梨に変わってきています。

ただ、農業の衰退は著しく、水田の畑作物への転換にともなって、かつての水田に果樹を作るケースも見られましたが、果樹栽培はとくに後継者不足が現実化しており、果樹栽培をやめる農家が増えています。
水稲栽培に比較すると、その人手のかかることは有名で、あと何年もつだろうか、といわれるほど次世代には、果樹栽培が減少するとみられています。

二十世紀梨にしてもりんごにしても、現在は国内産を口にすることができますが、将来はどうなるかわかりません。先の「安全なものを食べていますか」のなかでも言いましたように、輸入果物は添加物からみると、危険性があります。それらは、栽培途中に行なう農薬ではなく、収穫後に添加されるものであって、その危険性は不変といえるでしょう。
このようにまたまだ国内産が手に入る時代は、ましなのです。

さて、そうはいっても、その国内産にしても現実の栽培のなかで行なわれる農薬散布は、いろいろ問題があります。
思えば昭和40年代に、私の祖母が盛んにみかんの皮を細く裂いて天日で干して食べるようにしていたことがありました。当時の栽培過程がどうであったかわかりませんが、今思うと危険なことであったように思うのです。

さまざまな果樹があるなかで、梨類は消毒がもっとも必要とされています。やはり甘いものに消毒が必要だということは、素人でもわかるかと思います。
梨の生産地であり、先ほども言いましたようにりんごや西洋梨を栽培する中、春先から収穫期までの消毒の頻度はすさまじいものです。一大産地だけに直売する農家が多く、県外から多くのお客が来ますが、こうした人々が、ここに暮らしてみると、こんなにすごいのかと感じてもらえるかもしれません。
私は子どものころから果物が好きで、特に地元で採れたりんごや梨は好きでした。ですからどんなに消毒の現実を知っていても、食べたくないなんてことはありません。ただ、これだけ消毒をして、何かに影響はないものなのか、といつも思ってそのなかで暮らしています。

かつてまだ、農業主体の暮らしであったころは、木々の下の雑草を手で取ることは珍しいことではなく、除草剤に頼る栽培方法はそれほどなかったと思います。ところが、現在の農業では、除草剤なくては成り立たないほど使われています。それは果樹だけではなく、水稲栽培でも同様です。
こうした除草剤の氾濫は本当に避けたいものです。

そうした環境ですので、こうした果物を食べる場合も気をつけたいものです
多くの梨は袋をかけて栽培されますが、太陽の日をしっかりうけた果物を売りに、無袋(むたい)の梨がありますが、むしろ消毒を直接受けているわけで心配です。
食べる際も、皮のついたまま「ガブッ」と噛み付くのは避け、皮をむいた方がよいでしょう。
果物のジュースでも、100パーセントのものが必ずしも安全ではない、という話を聞きますが、それは果物そのものの危険性があるからです。加工品に使われる果物に輸入ものが使われることが多く、危険度はむしろ無果汁のジュースより高いこともあります。


3.農村の現状

農村の風景でもっとも美しいのは、田植え後の青々した水田でしょう。とくに梅雨の時期の水田の青さは、本当に美しいものです。
こうした風景も減反による水田の減少で、一面に広がる水田の姿は少なくなりました。
更埴市姨捨山の段々の水田は、「田毎の月」として知られていますが、これは水張りをした際にその田毎に月が写って見えたことからそう呼ばれています。田植え後も美しいですが、田植え前の一面に水が掛けられた水田には、山や土蔵の白壁が写るなど、さまざまなものが写り、また美しいものです。

こうした農村に現在でもきれいな水がながれているかというと、違います。
安曇野というと、いかにも美しいイメージがあります。ワサビ田が数多くあり、ワサビの生産地としても知られています。ところが、それらは湧水が多いためにある程度美しい水を確保していますが、農業用水に使われている水をみると、かならずしもきれいではありません。

穂高町の大糸線穂高駅から西方では、現在ほ場整備(無秩序な水田や畑を整備し、農業経営を安定させるために行なっています)が行なわれています。西には北アルプスの山々がそびえ、それは美しく、都会の人々がその美しさにあこがれ引っ越してきます。そうした家々が点在するなかで、ほ場整備が行なわれていますが、私が整備前に初めてここを訪れた二年ほど前、田園地帯に柳の木が点在し、その横を流れる小川が土水路で蛇行している姿を見て、私の生まれ育った伊那谷の三十年くらい前の風景を思い出しました。そこに展開される風景は、昔の農村の風景でした。その風景の向こう側には、現代的な洋風の民家が建ち並んでいるわけで、そのアンバランスはなかなか口には現せないものでした。
そして蛇行して流れる用水路の水は、どことなくきれいに見えたのです。周辺にこれほど新興住宅があるのになぜきれいなのだろう、と思いました。

ところがここが整備されたあとに訪れたところ、そこにあるコンクリートの用水路に流れる水のきたなさは際立っていました。コンクリートにしたから汚くなってしまった、という安易なものではなく、これはもともと汚かったといった方が正しかったのでしょう。
穂高町を含め、安曇野は広域下水道がまさに現在整備されており、まだまだ下水道が完備されるのは、ここ何年かのようです。こうしたなか、新興住宅を多く受け入れてきた地域に、きれいな水はなかったともいえるでしょう。土水路で蛇行しているがため、そして草花がその水路を覆っていたからこそ、どことなく美しさが漂っていたのかもしれません。

雑排水によって汚れた水は、農村でもしだいに下水道が整備され、もとの美しさを取り戻しつつあります。
しかし、かつて水田にいた昆虫は、明らかにいなくなりました。
県内でもメダカの生息できる環境は限られてきたといいます。そして、生息しているメダカから昔からいた黒メダカを確認することは至難の業となりました。
そのほか「たにし」や「げんごろう」といったどこにでもいた昆虫は見当たりません。

用水路をコンクリート化したことによる自然界の変化はことに大きいようです。しかし、いっぽうではコンクリート化することにより漏水を減らし、維持管理費を節約し、農業を営む人々を助けてきたことも事実で、環境重視だけでは解決できない現実をもたらしました。

水だけに限らず、先の「くだものの周辺」でも言いました除草剤の活躍は、除草剤に強い雑草だけを生かすことにもなりました。かつて農村にあった在来の雑草が、ほとんど見られなくなったことも事実です。
私の家の庭には、とてつもなく図太いたんぽぽとすいこんぼうが生えてきます。前のもと果樹園であった荒れ地には、同じように図太い雑草がところせましと出てきます。たんぽぽの茎は、異常に巾広く突然変異のような茎で、驚きもします。それほど除草剤に強いものに変化してきたのかどうなのか、私にはわかりませんが、どこか不安なものです。

花粉症が誰にも悩みの種ですが、かつてなかった花粉症がなぜ多くなったのか、明解な答えを知りません。戦後育ちのいい杉を、多量に植えたからというだけでは説明になりません。
杉の花粉の時期だけではなく、他の季節でも花粉症があるのですから。
たとえばブタクサです。この花粉症もよく知られていますが、明らかにこの草は外国から入ってきたものです。農村にはそれほど見ないのですが、たまたま以前住んでいた住宅の周辺には、あたり一面に咲いていました。取って取って取りまくりましたが、人の土地ですしなかなか取り尽くせるものではありませんでしたし、本当に広い範囲に咲いていました。繁殖能力が強いといいますので、行く先は本当に心配な雑草です。

なぜこれほどまでに外来の雑草が繁殖してしまったのか。現在ではどうすることもできないほど、それらが咲き誇っています。

ダイオキシンの影響は、最近ことにいわれていますが、アトピーの増加や子宮内幕症の増加が指摘されています。しかし、農村の多くの人々に、どうすればダイオキシンを減らすことができるか、ということを徹底していないともいえます。
農家の多くはごみを自宅で処理します。そして多くは焼却処分しているわけです。農家ではずいぶん多くのビニールごみがでます。これらを焼却炉で安易に焼いていたのが、つい最近までのことです。それは、学校などの焼却炉でも同様だったわけですが、行政に近いところでは、危険性が出てから止めるようになってきています。ところが、行政のいきとどかない個人の家では、まだまだ自宅の焼却炉でビニールを焼いています。認識のないまま焼くことへの危険をわかるべきです。対応できる焼却炉がないから、というのではなく、そうした原材料を使わないようにするとか、選別を徹底するとか、あるいは危険物質であるという表示をさせるとか、そういった行動をなぜとれないのでしょう。

安全で美しそうに見える農村が、決して安全ではないという現実がそこにはあります。

こうしたなか、自然を残そうというさまざまな活動が繰り広げられていますが、それらは、たとえば昆虫、生物といったものを対象にし、個々に活動する自然保護団体的な活動であり、人やその心のなかまで対象にしながら、問題を解決しようとしたものは見当たりません。


4.旬の食べものを食べませんか

危険がいっぱいだ!なんていうことばかり載せましたが、安全なものもあることをここでは知ってください。

どうしても季節でないものを食べようとすると、無理があります。やはり旬のものをたべるのが一番です。しかし、外食産業の関係者はそうはいきませんので、いつの季節にも同じように野菜がほしいわけです。
ですから外食には季節の違いがあまりでないわけで、そのためいったい何が旬なのかわからなくなります。

写真は田起こしする前のたんぼで「つぼ(たにし)」を拾っているところです。この田んぼの上にため池があるのですが、ここには多くのつぶが生息しています。このつぼがすぐ下の田んぼに逃げ出したもので、それほど多くはないのですが、いくつか拾えました。
つぼは水の影響を受けるようで、ここで採ったつぼを私の実家のある上伊那郡飯島町の水田で増やそうとしているのですが、数は増えるのですが食べられるほど大きくなりません。

ここのため池では、秋にため池を干しています。その際にはたくさんのつぼや黒メダカ、タモロコがとれます。これらは、秋祭りのご馳走として料理されます。
かつてのムラでは、祭りの日をもっとも重要な日としてとらえていました。正月や盆以上にご馳走をして、家から出た兄弟や親戚を呼んでご馳走をしたものです。また、一年の中では数少ない休日でもあったわけで、こうした祭りの日をムラ全体で楽しんだわけです。

この写真の田んぼは、とても小さく、現在ではなかなか水田耕作するにも手がかかります。なぜ整備できないでいるかというと、それは地域のなかでの人それぞれの考えの違いからくるもので、けしてこれでいいと思っているわけではありません。人と隣り合わせになっているなかで地域が生きていく葛藤は、マチで隣の顔すら知らずに住みながら、自由に暮らすのとはわけが違います。たまたまそうしたしがらみの中で、こうした自然の食が生きているのです。
無農薬の野菜を作ることは、農民の本来の希望だと思います。ところがこれで食べていく、ということになると話しは別です。農業が衰退した原因に、現金収入を得るもっと手っ取り早い方法があったからともいえます。そうした方法で収入を得る人々と同等の暮らしをするには、農業を営むにも、もっと手っ取り早い方法を選択するしかなかったともいえます。そうした農業の現実を無視して、農薬付け農業を批判することも簡単にはできないでしょう。行政のトータルな取り組みが望まれます。

私の家では、無農薬野菜を食べています。自ら作っているわけではなく、下伊那郡喬木村の妻の実家を手伝っている程度ですが、レタス・いちご・きゅうり・トマト・なす・すいか等など、必要と思われる野菜はほとんど作っています。その変わり、旬にしか食べません。当たり前のようですが、それで十分暮らしていけます。もちろんスーパーで買うものもたくさんあって、自然食派でもなんでもありませんが、農業の良さを十分体験しているつもりです。

興味のある方は連絡ください。
E-Mail

   or